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「もしも世界にお前と俺、二人きりだったらどうする?」
俺らしくないことくらい、分かってる。



椅子に座っているそのガキは俺に視線を向けてキョトンとした表情をしている。
言ってからしまったと思う。
「…ジャック?」
言わなければ良かった。
ウィルが手を伸ばして俺の頬を触った。
温かい人の体温に、少しだけ俺はほっとしてその手の上に俺の手を重ねた。
「…どうしたの急に」
あやすように俺を膝の上に跨ぐように座らせた。
「…別に」
ウィルは笑みを含んだ顔をしている。
ああ本当に言うんじゃなかった。もう一度そう思う。
「…珍しいね、ジャック」
「なんだよ」
こいつは今、絶対に状況を楽しんでやがる。
玩具を見つけたガキような顔をしているから分かりやすい。
観念して、俺はウィルの首に腕をまわした。
「……うるさい…さっさと答えろ、船長命令だ」
「…」
ふふ、と笑う声と、密着しているせいで振動が伝わってくる。
ウィルの手が俺の頭を撫でる。
ああ、本当に言うんじゃなかった。
「…それは、幸せすぎておかしくなっちゃいそうかもね」
「…っ」
予想していた答え。でも、俺はたった一言の
「…そうか」
この言葉が欲しくて、実際に耳元で囁いて欲しくて、
「ジャックは?」
こんな、
「…わかってるだろう」
ガキみたいなことを
「…言ってみてよ」
ウィルの耳もとで囁く。
「……幸せにできるんだろう」
ウィルの身体が揺れる。笑っているのだとすぐにわかった。
ああもう。
「幸せすぎて…どうしよっかジャック―――」
「…知るか、勝手にしてろ」
それは俺の台詞だと思ったが、言ってやらないことにした。
ウィルの顔がこっちを向いて、少しキツい体制なのにもかかわらずキスをしてくる。
ああ、言うんじゃなかった。
「じゃあ、勝手にしようかな」




ある人から貰ったネタ。
その場で思いついて、勢いだけで書きました。今は満足してる(笑
こんなふうに短編を書くのは楽しくて好きです。長編よりも手を込んで書けるからなぁ。
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