「もしも世界に僕ら二人しかいなかったらどうする?」
…我ながら、曖昧すぎる質問だ。
僕の質問の相手は不思議そうな顔をして僕と視線を絡ませていた。
もう一度唇を開いた。
「もしも世界に僕ら二人だけだったなら、どうする?」
「…なんだそりゃ」
「僕は」
なんでこんな質問をしたのか自分でもわからない。
「幸せ、だろうな」
「どうしてそう思う?」
見上げてくるジャックは、僕が望んだ通りに
「…君の目に映るのは僕だけだからさ」
そっと頬を両手で包んで、額を合わせた。
覗き込めば、ジャックの目にはそれを見つめている僕が大きく映っている。
それを見たら急に切なくなって、貪るように彼にくちづけた。
は、と熱い吐息が漏れて、ジャックの赤い舌が隙間から覗く。
それを塞ぐようにまた唇を奪って、開いた隙間から僕の舌を滑り込ませた。
引っ込んでいたジャックの舌に絡ませて、誘導するように絡ませる。
引っこ抜くように舐めて、吸い上げると、抱きしめていた身体がビクッと跳ねた。
「…ふ…ぁ…」
絡ませていた舌を解いて、じっくりと味わうように歯列をなぞる。
目を開くと、僕とは対照的に目元を赤く染めてぎゅっと目を閉じているジャックが目に入った。
足がガクガク震えて、今にもしゃがみこんでしまいそうだ。
いつのまにか僕の背中にまわっていた手も、服を強く握り締めている。
口と口の繋がりを解くと、混ざった唾液が糸をひいた。
明らかに快感に染まり始めた身体の熱を開放してあげるため、首筋を舌でなぞりながらコートを脱がした。
「…ウィル」
シャツに手をかけてボタンを外していると、上から声が降ってきた。
「なに?」
脱がす手は止めず、首筋を愛撫しながら僕はその言葉の先を促す。
「……悪くはない」
「え?」
それが何のことを指しているのか、一瞬わからなかった。
「…ずっとお前の目に映り続けているのも…悪くない」
「………」
少しだけ考えて、下からそっとジャックにくちづける。
いつか。
「……そうなるといい」
無理だってことくらい、分かってるけど。
小さく呟いて、僕はジャックのシャツを床に落とした。
それでも君を縛れないことくらい