俺の後頭部に当たったのは先ほど奴に渡した鍵だった。喧嘩売ってるのかこいつ。
再び床に落ちた鍵を拾い上げる。
「…渡すだけ渡して勝手に行くんじゃねーよ」
「あ?」
「、なんでオメーこれ持ってんだ」
「ここに落ちてたンだよ。それ以外に何があんだ」
「オメーこれがなんの鍵だか知ってンのか?」
「知るか」
「これは…」
ああだんだんイラついてきた。なんだこのどうにも進まねぇ会話。
「何が言いたいんだよ」
「この鍵はな、俺の職員ロッカーの鍵だ」
…は?
「なんでか無いから捜してたんだが、まさかオメーが持ってるなんてな」
「オイコラ待て。それはアレか?俺がテメーにストーカー染みた行為してたって言いてぇのか?」
「いやいや別に俺そんなこと言ってないようん」
「じゃあなんで顔合わせねぇンだよッ」
俺がそんなキモイ事するかってんだよ。大体、誰がそれを持ち出したのか見当はついてんだろ。
返さなけりゃ良かったぜ。あのままゴミ箱にでも放り込んでやりゃあ良かった。
軽い後悔を伴った俺のイラつきは、そう長くも続かなかったが。
不意に銀八の拳が俺の胸板に差し出された。何も言わず無言で。
「こんどはぁンだよ」
「やるよ」
即返ってきたその返事の意味を理解する前に、銀八はすばやく俺の制服の胸ポケットに鍵を突っ込むとそのまますれ違うように俺の後ろへ向かって歩いて行く。一瞬遅れた俺の思考が漸く時間を伴い、行動として後ろを振り向かせた。わけ、わかんねぇ。
「いらなきゃ捨てていーぜ。好きに使いな。俺はスペア持ってるからよ」
口を開く前にそうまくし立てられて、何も言えない。奴は返事などハナから期待していないように廊下の角を曲がって消えた。
「…わけわかんねェ…」
傾いたオレンジ色の夕日に照らされた廊下に残されたのは、俺と俺のポケットにあるあいつの鍵だけだった。
にぃ、と銀八が口を歪めたのは、屋上と廊下を照らしていた夕日だけが知っている。
再び床に落ちた鍵を拾い上げる。
「…渡すだけ渡して勝手に行くんじゃねーよ」
「あ?」
「、なんでオメーこれ持ってんだ」
「ここに落ちてたンだよ。それ以外に何があんだ」
「オメーこれがなんの鍵だか知ってンのか?」
「知るか」
「これは…」
ああだんだんイラついてきた。なんだこのどうにも進まねぇ会話。
「何が言いたいんだよ」
「この鍵はな、俺の職員ロッカーの鍵だ」
…は?
「なんでか無いから捜してたんだが、まさかオメーが持ってるなんてな」
「オイコラ待て。それはアレか?俺がテメーにストーカー染みた行為してたって言いてぇのか?」
「いやいや別に俺そんなこと言ってないようん」
「じゃあなんで顔合わせねぇンだよッ」
俺がそんなキモイ事するかってんだよ。大体、誰がそれを持ち出したのか見当はついてんだろ。
返さなけりゃ良かったぜ。あのままゴミ箱にでも放り込んでやりゃあ良かった。
軽い後悔を伴った俺のイラつきは、そう長くも続かなかったが。
不意に銀八の拳が俺の胸板に差し出された。何も言わず無言で。
「こんどはぁンだよ」
「やるよ」
即返ってきたその返事の意味を理解する前に、銀八はすばやく俺の制服の胸ポケットに鍵を突っ込むとそのまますれ違うように俺の後ろへ向かって歩いて行く。一瞬遅れた俺の思考が漸く時間を伴い、行動として後ろを振り向かせた。わけ、わかんねぇ。
「いらなきゃ捨てていーぜ。好きに使いな。俺はスペア持ってるからよ」
口を開く前にそうまくし立てられて、何も言えない。奴は返事などハナから期待していないように廊下の角を曲がって消えた。
「…わけわかんねェ…」
傾いたオレンジ色の夕日に照らされた廊下に残されたのは、俺と俺のポケットにあるあいつの鍵だけだった。
にぃ、と銀八が口を歪めたのは、屋上と廊下を照らしていた夕日だけが知っている。
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