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忘れちゃいけないことがみっつ。
ひとつ。ここは海の上で船の上でマストの上ってこと。
ふたつ。天気がすごくよくてうなじがじりじりと焼けるくらい暑いってこと。
で、みっつ。…いい年した男が二人、身体を寄せ合ってるってこと。
「…………」
「……ターナー君、俺は今とても暑い」
「それは奇遇だ。僕も暑い」
「………」
「………」
ジャックは僕から離れたいらしい。
暑いからってのもあるだろうし、大の男が二人、抱き合ってるなんて変なシーンを他の船員に見られたくないってのもあるんだろう。
もしくは、僕を
「ウィル、おい、落ちるだろ」
背中に腕を回して更に自分から抱きついてくる。
この線はナシだ。
いくら落ちそうでも嫌なら寄らないだろ?
少なくとも好意はある。
「ジャック、汗」
それが”好意”止まりか、アレな意味かは別として。
「だから暑いっつってんだろ…」
ジャックの鼻を伝う汗を舌で舐め取る。
どんな反応か見てみたかった。
目を開いてジャックの顔を覗き込む。
拒絶されるか、殴られるか、どっちかかな。
「……っ」
「え?」
予想外とはよく言ったものだ。
そんな言葉は誰が思いついたんだろう。
きっと頭は悪い奴だったんだろうな。
夏の日中の暑さだけで赤くなったわけじゃない、ジャックの顔。
拒絶どころか…
「…もしかしなくても照れてる?」
か、とまた赤くなっていくジャックの顔は、酒を煽ったとき以外見たことがない。
ちょっとレアなものを見ることが出来た。
いや、というか、
少し間を置いて、僕まで赤くなってしまう。
見られるのは情けなくて嫌で、ジャックに顔を見られる前に肩に顔を押し付けさせるように抱きしめた。
なんてことだ。
何もかも予想外。
僕よりもいくつも年上で、経験豊富で、裏切り者で、女たらしで、海賊のこの人が。
それよりも信じられないのは僕自身で、この人相手にこんなことをしてることとか、とにかく全部。
「…俺は男だぞ」
「…知ってる」
ありえない。
今まで見てきたどんなものよりもありえないと思った。


無意識に彼の腰に回していた腕が太陽に焼かれて、真夏の暑さをまた実感した。
夏は、やっと始まった。






恋の始まり(乙女ちっくー)とかどっすか。
ジャックがありえねぇーすね。わかってます…自分が一番分かってます…泣
ウイルの一人称がいまいちわかんないです。僕?俺?俺だとなんか違和感あるような無いような…
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