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どがっ、なんて音を立てて。
派手にベッドから落ちた相手の腕をニクスは呆れながら引っ張った。
「お前さ…意外と寝相悪いよな」
目をとろんとさせて半ば夢から戻ってきていない様子の英利を、今度は落ちないように腕の中に抱いて再び雑誌に目を落とした。
そこまでされてもいまだ夢の住人のままである英利をチラと見やり、小さくため息を零す。自分を認識しないなんて不愉快だ。
ぐるりと身体を反転させて自分と向かい合わせた。どこか焦点のあわなかった蕩けた瞳はそこでようやく他人の存在の認識したようで、瞼を伏せて次に開いたときには見事にキョトンとした表情が出来上がっていた。
「……」
「………?」
特になにをしゃべるわけでもなく英利はただニクスを見つめていた。そして、不意に。
小さく首を傾げたもんだから。
「…!」
それこそコンマなんとか秒の速さで、強く腕に抱かれた。
「??」
唐突な出来事にやはり英利は首を傾げるしかなくて。
呆けた表情で小さく首を傾げる様子がまるで生まれたてで何も知らない子猫のようで愛らしかったから思わず抱き締めてしまった。そう言ったら怒るだろうか。
ニクスが相手の肩に顔を埋めて胸のときめきと葛藤している合間に、先ほどの夢だと思われるそれをぼんやり脳内で再生していた英利はまた別の意味でため息を吐いた。
今更だろうに、と。
「そんなのとっくに振り切った…さ」
「あ?」
なにか言ったかと身体を離して英利の顔を再度見た。けれどこの時すでに相手は寝入ってしまっていて。
「早…てか、なんだよ。さっきなんつった?英利…」
寝汗にほんの少し湿った英利の前髪をかきあげてやりながら、なんとなく相手の心理の奥底を見損なったような気がして、ニクスは腹いせがわりに寝たままの英利をもう一度強く抱き締め、同じ夢が見れるようにらしくない祈りを捧げながら、眠りに落ちていった。








(心理が真理とは限らないということに気づいているかどうかは別として)
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